令和元年度(平成31年度)東京都板橋区一般会計歳入歳出決算の討論を行いました。

本日は、令和元年度(平成31年度)東京都板橋区一般会計歳入歳出決算の討論を行いました。

板橋区では第三回定例議会に昨年度の決算に対する調査と認定に対する表決を行います。

令和元年度の決算について、各、常任委員会での調査と、総括質問を経て、本日認定するかどうかの討論および、表決を行いました。

民主クラブとしては、様々意見や要望を伝えましたが、全体としては認定することに賛成いたしました。
しかし、新型コロナウイルス感染症対策や、子育て支援、まちづくりや防災対策。まだまだやるべきことが沢山ありますので、引き続き区に要望を重ねてまいります。

以下は討論原稿です!

ただいまから、民主クラブを代表し「令和元年度東京都板橋区一般会計歳入歳出決算」、「国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算」、「介護保険事業特別会計歳入歳出決算」、「後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算」及び「東武東上線連続立体化事業特別会計歳入歳出決算」を認定することに賛成の立場から討論を行います。
令和元年度の板橋区の財政状況を見ると、歳入では、特別区債が16億7,700万円、繰越額が9億7,100万円、分担金及び負担金が7億4,700万円、地方消費税交付金が4億2,500万円の減額となった一方で、特別区交付金が62億6,000万円、国庫支出金が31億4,300万円、繰入金20億8,400万円、都支出金が14億8,900万円、特別区税が13億2,500万円の増額となった結果、平成30年度に対して5.2%の増、歳入は2270億5500万円となりました。

歳出では、諸支出金が19億8,700万円、総務費が6億1,300万円の減額となった一方で、土木費が62億5,300万円、福祉費が27億4,200万円、教育費が25億2,200万円の増額となった結果、平成30年度に対して4.8%の増、歳出は2213億5700万円となりました。歳入歳出差引額は56億9,700万円で前年度比10億9,100万円の増となっております。

財政調整基金については、16億6,800万円の積み立てに対し、東武東上線連続立体化事業基金への取崩額が45億4,000万円となり、年度末残高は234億73,000万円となっております。新型コロナウイルス感染症対策等、未曾有の事態に備え基金の弾力的な活用を望みます。

令和元年度板橋区普通会計決算の財政指標は、実質単年度収支は20億2,200万円の赤字となり、実質収支比率は、前年度比0.5ポイント増の4.1%で、一般的に望ましいとされる3%~5%の範囲内となっております。例年の特別区平均が5~6%で推移していることから、収支の均衡は図られていますが、今後も留意が必要であると考えます。
経常収支比率は、前年度から3.7ポイント低下し、78.9%となり、平成19年以来12年ぶりに適正水準とされる70%から80%の範囲内に入りました。これは経常経費充当一般財源額が14億3,845万円増となり、また歳入経常一般財源額も81億5,176万円の増となったことによるものです。ようやく適正水準になったとはいえ、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、予断を許さない状況であることからも、今後も財政構造の弾力化に向け、取組みを継続することが求められます。
公債費負担比率は、分母である一般財源総額、分子である公債費充当一般財源等がともに増加した結果、前年度から0.3ポイント増の2.7%となりました。比率は増加しましたが、年度末起債残高は年々減少しており、引き続き、計画的かつ効果的な起債の活用を図られるよう望みます。
人件費比率は、前年度から0.6ポイント減の14.6%となりました。民間のマンパワーも活用し、効率的かつ効果的に人的資源を配置することを求めます。

今後の財政展望についてですが、歳入面では、地方法人課税の一部国税化による特別区交付金の恒常的な減収が危惧されております。また、ふるさと納税による特別区民税への影響額は、年を追うごとに増加し、令和2年度には13億3,100万円の減収が見込まれております。区はクライドファンディングを活用した寄付制度の取組を行っておりますが、その額はふるさと納税の減収額の1%にも満たない状態であり、抜本的な対策が必要であると考えます。
歳出面では、幼児教育・保育の無償化、障碍者の自立支援、公共施設・社会資本の再構築、会計年度任用職員制度の導入等に多大な経費負担が見込まれ、引き続き計画的かつ効率的な財政運営を行う必要があります。

次に、特別会計について申し上げます。

まずは国民健康保険事業特別会計についてです。
歳入は673億5,700万円、歳出は563億6,200万円で、前年度と比較して、歳入が43億1,000万円、歳出が43億4,900万円の減となり、形式収支及び実質収支は、ともに9億9,500万円の黒字となっております。保険料等の収入未済額は、32億9,800万円、不納欠損額は8億7,700万円です。国民健康保険料の調定額に対する収入率は76.8%で前年度と比較して2.3ポイントの上昇となっておりますが、負担の公平を損なう収入未済額を、引き続き縮減することを求めるのに加え、制度の理解をより深め、納得して納付いただくよう、引き続き実情に合わせた対応を望みます。歳出面では、不用額が9億7,300万円で、予算規模に対する執行率は98.3%でした。今後も医療費の動向の的確な把握に努め、不用額の一層の縮減を図ることを求めます。

また、今回東京都への納付金の支出に関し、予算の定めがない項の間での予算流用が行われたことに対しては、地方自治法第220条第2項に反しており、大変遺憾であります。法にのっとった運営が行われないことは、区民の、行政に対する信頼を損ないかねない重大な問題であると指摘せざるを得ません。徹底的な原因究明と、今後二度とこのような事態が発生しないよう、再発防止策を策定し、職員のコンプライアンスの徹底を要望します。

次に介護保険事業特別会計についてです。
決算は歳入が419億5,500万円、歳出が407億500万円で、前年度と比較して歳入が16億1,800万円、歳出が11億9,400万円の増となり、形式収支及び実質収支は、ともに12億5,000万円の黒字となりました。
保険料等の収入未済額は、4億7,600万円、不納欠損額は1億7,200万円。介護保険料の調定額に対する収入率は93.7%で、前年度と比較して0.1ポイントの上昇となりました。

次に、後期高齢者医療事業特別会計についてです。
決算は、歳入が121億4,400万円、歳出が120億1,600万円で、前年度と比較して歳入が3億1,100万円、歳出が3億200万円の増となっております。形式収支及び実質収支は、ともに1億2,800万円の黒字であり、保険料の収入未済額は、1億1,200万円、不納欠損額は2700万円となっております。
後期高齢者医療事業保険料の調定額に対する収入率は97.7%で、前年度と比較して0.1ポイント上昇しております。3特別会計ともに、制度への説明と周知に努め、収入率の向上を図り、滞納が生じたときには、原因の把握、実情にあわせた丁寧な対策を求めます。

また、令和元年度に新設された東武東上線立体化事業特別会計については、歳入が2,040万円、歳出が1,992万円であり、形式収支及び実質収支はともに48万円の黒字となっております。東武東上線連続立体化事業の運営にかかる会計を適切に管理するため、特別会計として明確化することが望ましいと認められます。今後も適正な運用を望みます。

以上、一般会計及び4特別会計について現況と意見を述べましたが、加えて会派の要望を申し上げます。

新型コロナウイルス感染症の影響はあらゆる業種あらゆる分野に大きな打撃を与えています。感染症対策に加え、区内事業者や区民への様々な支援について必要な対策をとっていることは評価いたします。しかし感染の終息がみえないなか、客足が戻らず、給付金や助成金でなんとか維持出来ていた事業者が今後、倒産に追い込まれることも懸念されます。引き続き、区内生活者や区内事業者にむけての経済対策を求めます。

続いて、大山まちづくりに関しての要望です
都市計画審議会の結論を経て、都市計画決定され、いよいよ新たな大山の街づくりが進もうとしておりますが、未だ多くの疑問点や不安の声があげられております。最近では、大山クロスポイント周辺地区整備にかかる解体工事でアスベスト含有建材の調査やその掲示方法についても不安の声があげられています。地域住民の協力無くしてまちづくりは行えません。時系列に沿った状況の説明、しっかりとした掲示、法にのっとったアスベスト除去作業など、区として建設組合に対し、地域住民の不安や疑問を少しでも解消出来るよう、住民の方々が納得いただける対応を取るよう指導することを強く求めます。また、開発途中のまちのにぎわい維持の方策を積極的にとっていただきたいと要望いたします。

板橋駅板橋口地区における市街地再開発事業については、工事着工の遅れと3年程度の計画遅延が懸念されております。板橋の玄関口として再開発を進めているJR板橋駅西口再開発がいつまでも白い工事版に囲まれていてはにぎわいの創出どころではありません。可能な限りの工期短縮を要望することを求めます。また、駅前広場については、道路線形や駐輪場、トイレ、公衆喫煙所などの設置物について、地域住民の声を可能な限り取り入れることと共に、検討過程を逐次に報告することを要望します。

シェアサイクル事業の実施など、自転車を活用したまちづくりが進んでおります。一方自動車と自転車、自転車と歩行者の事故が多発しております。マナー講習の実施や保険加入の促進を進めるほか、自転車専用道路の整備を一層進めることを要望いたします。

子どもたちの遊び場がまだまだ足りません。未来を担う子供たちが思いっきり遊べる公園や校庭の環境整備をお願いいたします。

高島平地域再開発については、まずは4丁目5丁目の買い物不便地域の解消など、できることから機動的に着手するよう求めます。また今定例会の質疑を通じて、高島平まちづくりの具体的計画は「高島平地域都市再生実施計画」として令和3年度に示される旨が再三答弁されました。地域の公共施設の老朽化は待ったなしであり、具体的計画の確実な提示を求めます。

自殺者対策について申し上げます。様々なことに思い悩み、結果自ら命を絶ってしまう方は、様々な要因が複雑に絡み合っており、多くの課をまたいだサポートが必要となります。専門部署を設置したうえで、全庁的な対応を行うことを要望いたします。また、情報共有カードの活用も含めて検討を進めて頂くことを求めます。

次に教育政策に関して申し上げます。
2020年度から小学校で、2021年から中学校で、アクティブラーニングによる授業が開始されます。「生きる力」を育むために、知識偏重の教育から、自己肯定感を高め、一人ひとりがみずから学び、行動する、主体的かつ、対話的で深い学びへの転換を、深化、加速させることを求めます。
また、ICT教育の一環として区内全小中学校に一人一台のタブレットが配布されることとなりましたが、これまでの教育が大きく変わる大転換であるという認識と自覚をもち、ICTを積極的に活用した授業を行い、21世紀の社会に立ち向かう人材の育成に努めることを望みます。また、ICT機器のランニングコストが年間20億にものぼるという事実をしっかりと認識し、4月から5か月間もの間タブレットを家庭学習にのみ使用するといった限定的な運用を改めるよう要望します。

続いて災害対策です。
令和元年度は台風15号、19号など日本全国に多くの被害をもたらしました。幸いにも本区においては、被害を最小限に抑えられましたが、水害対策に多くの課題があることが明らかになりました。災害に関する周知方法や避難所への移動手段、特に高齢者や障がいをお持ちの方の避難のあり方、マイタイムラインの策定推進、各所との連携などの対策を求めます。
また区長を常に補佐する危機管理監の設置など、危機管理室の強化、指揮・統制のあり方の見直しも含めた災害対応の体制強化を求めます。また、発災時の危機管理能力を高めるために、常勤の部課長へ退職幹部自衛官を採用することを要望いたします。

庁内のオープンデータについて、公表するデータがまだまだ足りません。また、東京都のオープンデータカタログサイトへの登録数は他区と比較して件数が少ない状態です。積極的にデータの公表を要望するとともに、公表の方法もPDFをHPに載せるだけではなく、APIによる提供を求めます。

最後に、出産・子育て・育児支援について要望致します。
昨年も要望いたしましたが、待機児童対策、安心して出産、子育てがしやすい街、板橋区を目指し、いたばし版ネウボラ事業の切れ目のない子育て支援や、各家庭及び、妊婦さんへの寄り添った支援、産後メンタルケアなどの強化を求めます。
今後ともまちづくりや防災対策、子育て支援など区民の要望に対して最善を尽くすよう求めます。
意見と要望を申し上げましたが、各会計の決算収支、財政構造及び予算の執行及び財政運営状況は、おおむね適正なものと考え、令和元年度度東京都板橋区一般会計歳入歳出決算ほか4特別会計歳入歳出決算を認定することに賛意を表して討論を終わります。ありがとうございました。