2019年6月6日 一般質問

おばた健太郎 議員  民主クラブのおばた健太郎でございます。通告に従いまして、引き続き一般質問を行います。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、小・中学校の複数担任制度について伺います。
 変化の激しいこれからの社会を生きるために、教育の果たす役割は非常に大きいと認識しております。その中でも、一人ひとりが課題を見つけ、自ら学び、主体的に判断、行動し、問題を解決する力、生きる力を育む教育を実践することが何より重要であると考えております。
 そのためには、児童・生徒の個性や個別の興味に応じた学びの体制をつくる必要があります。現在、板橋区の児童・生徒の学力は全国平均値と同レベルです。子どもたちの学力を底上げしつつ、多様な子どもたちへの対応を行うためには、今以上に教育環境の充実が必要だと思われます。
 そのためにも、私は小・中学校において、1つのクラスに2名の教員を配置する複数担任制度が有用であると考えております。複数担任制度が、既存の制度と比べてすぐれていると言える点が3点ございます。第1に、自ら主体的に判断する学びを実践するためには、子どもたち一人ひとりの個性に応じた教育が必要です。そのときに、その子が何に興味を持ち、何を学びたがっているのかを感じ取るためには、1人よりも目の行き届く2人の担任制度の方が効果的であると言えます。
 第2に、1つの授業に複数の目が入ることで、教員のお互いの指導力向上が期待できます。ITの世界では、ペアプログラミングという2人で1つのプログラムを組む手法があり、非常に有用な手段となっていますが、板橋区の小・中一貫教育、学びのエリアの中でもティーム・ティーチングを実施、推奨しております。経験が若い教員にとっては学びが深く、また、ベテランの教員にとっても新たな発見があると思われます。
 第3に、教員と児童・生徒との関係性の緩和が挙げられます。学級王国という言葉があるように、クラスで教員が閉鎖的な空間をつくってしまうことがしばしばあります。教員との関係性がよい場合は問題ありませんが、仮に教員が子どもたちとの関係をうまく築けないような場合には、さまざまな弊害が生まれてくることも予想されます。
 教員が生徒に与える影響は非常に大きいことからも、複数の教員で関係性の固定化を防ぎ、多様な児童・生徒に対応することが可能となります。現在、板橋区の対応として、学習指導講師を募集し、教職員の不足を補っていると伺っておりますが、まだまだ充足には至っていないと聞いております。さらなる待遇改善を行い、募集を行うべきと考えております。
 そこで伺います。板橋区の教育力向上のために、教員のさらなる増員が必要と考えますが、区の見解を伺います。また、1人の子どもを複数の教員で指導する体制を構築していくことが必要と考えますが、区の見解を伺います。
 次に、総合防災訓練について伺います。
 毎年3月には、板橋区の区内17地区で総合防災訓練が行われております。東京都内に震度6強の大地震が発生し、多くの建物が倒壊、焼失しているとの想定のもと、地元の消防団や自治会の協力を得て行われている重要な訓練であると考えております。
 大地震が発生した際には、一時集合場所に集合し、自宅で生活できない場合は区立の小・中学校などの避難所、大規模火災等が発生した際には避難場所へ避難するという決まりになっておりますが、総合防災訓練の訓練場所は地区によりさまざまな場所で実施されており、そのどれにも該当しない場所で実施をしている地域も存在します。実際の震災が発生した際に区民一人ひとりが適切に避難をするためには、一時集合場所、避難所、避難場所を正しく把握しておくことが重要です。そこで伺います。総合防災訓練の訓練場所と実際の指定避難所が異なる場合があることについて、さらなる周知が必要と考えますが、区長の見解を伺います。
 また、自宅が危険かどうかや大規模火災が発生したかどうかなど、避難に際してはさまざまな想定が考えられます。実際に体験、経験をしておかないと、大災害が発生した際に速やかな避難を行うことはできません。慌てず行動できるよう、実際の災害を想定した訓練をしてみることが大変重要です。そこで伺います。実際の避難を想定した実践的な訓練をバリエーションの一つとして加えることが必要だと思いますが、区長の見解を伺います。
 次に、消防団への事業補助金について伺います。
 板橋区には、板橋消防団及び志村消防団の2団が存在しております。団員は本業の傍ら、自分たちのまちは自分たちで守るを合い言葉に、日々、地域の防火防災活動に従事し、災害時には消防隊と連携した消火活動、救護活動、避難誘導、平時においては火災予防や広報活動、地域住民への防災指導を積極的に行っております。
 平成25年には、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が成立し、消防団は将来にわたり地域防災力の中核として欠くことのできない代替性のない存在と規定されております。近年では、板橋消防団が平成25年度、志村消防団が平成27年度に東京都消防操法大会で優勝するなど、高い訓練技術を保持しており、それぞれの地域における防災のかなめとして期待されております。
 もちろん板橋区の側からもさまざまな装備品の支給や板橋区消防団事業補助金の交付など、活動支援が行われていることは承知しております。しかし、活動の足元を支える団員はサラリーマン世帯が多く、仕事が終わった後や休日にも活動を行っており、仕事や家庭への負担も大きく、団員確保にも苦労する状態が続いております。
 板橋区からの補助金は、板橋、志村2団体で年額240万円となっておりますが、例えば、墨田区では消防団2団体で1,380万円、豊島区も2団体で790万円など、その額に大きな隔たりがあります。防災のかなめとして期待されている消防団に対しての区の支援としては、まだまだ脆弱であると指摘せざるを得ません。少なくとも、23区平均並みに引き上げるべきではないでしょうか。そこで伺います。地域の安全を担う消防団へさらなる支援充実を図るべきだと考えますが、区長の見解を伺います。
 次に、石神井川の周辺環境について伺います。
 現在、石神井川周辺環境は、板橋景観形成重点地区に指定されております。平成15年に選定された板橋十景にも数えられる石神井川の桜並木や旧中山道の仲宿付近の石神井川にかかる板橋とともに、特に桜の季節には多くの区民が訪れる憩いの場となっております。
 また、健康志向の高まりから、朝夕には多くのランナーが石神井川沿いの遊歩道をランニングする姿も見受けられます。いたばしタウンモニターのアンケートにおいても、友人、知人に紹介したい板橋区の観光資源として、石神井川の桜並木はいたばし花火大会に次いで認知されており、板橋区としても重要な資源として保護、整備に努めなければならないと考えます。
 しかし、現状の石神井川周辺環境を改めて確認いたしますと、平成28年度石神井川流域環境協議会事業報告書によれば、金沢橋付近での合同水質調査で下水臭がするということが報告されております。その理由としては、水中の酸素量である溶存酸素量や微生物が有機物を分解するのに要する酸素量である生物化学的酸素要求量、水中の水に溶けない物質量である浮遊物質量の数値が基準値を大きく上回っていることなどが考えられます。
 また、この季節の河川敷には、不快害虫であるユスリカが大量発生していることからも、水中の有機物対策が必要であり、現状の電撃殺虫機や補虫器だけでは快適な環境を提供できているとは言えません。石神井川の下流に位置する北区においては、臭気対策、環境改善策として、人工的に水の流れを発生させ、低層の貧酸素状態の解消や汚濁物質の堆積をなくし、悪臭を防ぐ水流発生装置を通年で稼働することや、定期的にしゅんせつ工事を実施して、堆積した土砂の撤去や汚濁物質の堆積しにくい河床形状にするなどの対策を取り入れております。今後も、板橋区の誇る景観の一つとして、また、区民の憩いの場となる石神井川周辺の環境を整備する必要があると考えます。
 そこで伺います。板橋区としても、石神井川に臭気対策を取り入れるべきと考えますが、区長の見解を伺います。また、河川周辺でユスリカが大量発生しております。区としての対策を行っていることは承知しておりますが、まだまだ不十分であると考えます。定期的に河川のしゅんせつを行うなど対策を進めるべきと考えますが、区長の見解を伺います。
 次に、公衆喫煙所設置について伺います。
 望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の人が利用する施設に対し喫煙を禁止する改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例が公布されました。令和2年4月の全面移行に向けて、板橋区としても公共施設は施設内禁煙とするなど早期に対策をとらなければなりません。しかしながら、喫煙場所をただ撤去するだけでは、路上喫煙の増加、吸い殻のポイ捨てや歩きたばこの増加など、環境の悪化や受動喫煙の危険性が高まることが懸念されます。また一方で、喫煙者にとっても喫煙可能な場所を確保する必要があるのも事実であり、喫煙者と非喫煙者がお互いに配慮し、共存できるまちづくりを進めていくべきです。
 今回、試験的に公衆喫煙所を設置するとのことですが、当然ながら、公衆喫煙所はその性格上、喫煙者が集まる場所であり、その周辺は受動喫煙の確率が高まることが予想されますので、特に慎重に検討していかなければなりません。設置に際しては、周辺に薬局やクリニックなどの医療機関、子どもが利用する学校、地下鉄やJRなどの公共交通機関など、小さな子どもからお年寄りまでが利用する施設が集積している場所は避け、繁華街周辺や周りに建物がないなど受動喫煙の危険性が低い場所を検討するべきです。もちろん近隣の住民の理解を得ることは最優先で実施しなければならないと考えています。
 そこで伺います。公衆喫煙所を設置して、望まない受動喫煙を防止する趣旨は理解します。しかし、建設する上では、周辺環境をよくよく吟味し、近隣の地域住民の理解を得た上で進めるべきと考えますが、区長の見解を伺います。
 最後に、板橋区のグランドデザインについて伺います。
 まちづくりをする上で、そのまちのアイデンティティを醸成することは非常に重要です。例えば、山形県天童市のキャッチフレーズは、湯のまち天童~あなたの旅に、王手~ですが、そのフレーズを聞けば、温泉、観光、そして将棋のまちであることがすぐにわかります。板橋にも、そういった何か特徴的なイメージを持たせることが大事ではないでしょうか。総花的にすべての事業を平均的に実施すると要点がぼやけ、まちの魅力を打ち出すことができません。これまでの歴史と伝統を踏まえ、さらに板橋という地域を発展させるためには、1本の道筋、指針が必要であると考えます。道路の整備1つをとっても、まちの指針があるかないかで整備の方向性が変わってきます。
 例えば、1つの案ですが、運動と健康を中心に考えていくのはどうでしょうか。板橋区には、板橋シティマラソンやロードレースなどのイベントがあり、石神井川周辺などランニングに適した地域も多く存在します。近年では、板橋区が健康づくりと介護予防、病気予防に関する取組み度調査で健康自治体トリプルAとして格付もされました。地元企業と連携し、健康器具をふるさと納税の返礼品として活用することも考えられます。子どもたちが安心して運動できる環境を整えることも健康につながります。喫煙環境についても、健康増進を念頭に置いた政策を推進するべきだと思われますが、いかがでしょうか。
 そこで伺います。板橋区を東京で一番住みたくなるまちとして評価されるまちを目指すとのことですが、何をもって住みたくなるとおっしゃられているのでしょうか。見解をお示しください。
 以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴、まことにありがとうございました。(拍手する人あり)

◎区長(坂本健君) 議長、区長。

○議長(元山芳行議員) 区長。
     〔区長(坂本 健君)登壇〕

◎区長(坂本健君) それでは、おばた健太郎議員の一般質問にお答えいたします。
 最初に、総合防災訓練の訓練会場についてのご質問であります。
 総合防災訓練では、通常、町会、自治会が定めております一時集合場所に集まった後、避難誘導訓練を行いながら、各地区の訓練会場に赴き、地区の参加者が一体となって初期消火訓練などを実施しております。指定避難所は地区内に複数存在するため、訓練会場は必ずしも参加者本来の指定避難所とは限らないことから、今後、さまざまな機会を通じて、身近な指定避難所の位置などについて周知していきたいと考えています。
 次は、訓練内容についてのご質問であります。
 総合防災訓練の訓練内容につきましては、初期消火や炊き出し、応急救命などの技術の確実な習得のために繰り返し行うことが必要な内容もございます。総合防災訓練で、いわゆる広域の避難場所などへの避難を想定した訓練を行うことは、時間の制約もあり課題も多いところでありますが、今後、地域に働きかけをしていきたいと考えています。比較的時間に拘束されることが少ない単一の住民防災組織による訓練において、在宅避難も含めた実際の避難の流れを確認する機会を設けるなど、各住民防災組織に提案をしてまいりたいと考えています。
 次は、消防団の運営費についてのご質問であります。
 特別区におきましては、消防組織法の規定によりまして、消防団の事務を東京消防庁が担っているところであります。区では、板橋、志村両消防団に対し、運営経費の補助や装備品の支給、分団施設整備における区有地の貸し出しなどの支援を行っているところであります。引き続きこれらの支援を継続しつつ、連携を図りながら、地域防災力の強化に努めていきたいと考えています。
 次は、石神井川の臭気対策についてのご質問であります。
 板橋区は石神井川流域の5つの市区で構成されております石神井川流域環境協議会に参加をしておりまして、この協議会が年2回実施する合同水質調査の中において臭気調査も行っております。一般的に23区の下水道においては、大雨が降ると河川に汚水が流れ込む合流方式を採用しているため、水質の汚濁や臭気が発生する原因となっているのではないかと考えられます。隅田川との合流部がある北区においては、潮の満ち引きの影響による堆積物から発する臭気の対策を進めておりますが、条件が異なる本区におきましては、当面、現行の臭気調査の結果についてを注視していきたいと考えています。
 続いて、ユスリカ対策についてのご質問です。
 石神井川のユスリカにつきましては、概ね2か月に1回、生息調査を行いまして、必要に応じて、卵の駆除作業を実施しているほかに、電撃殺虫機などを設置して発生抑制に努めているところであります。駆除効果としましては、薬剤散布が最も大きいと考えられますが、トンボの幼虫でありますヤゴなども消滅させるといった影響も考慮しているところでありますものですので、現在の方法を選択しているところであります。ご提案のしゅんせつにつきましては、今年度、区内の下流区間の中で実施を予定しておりまして、産卵場所となる泥の除去によりますユスリカ発生の抑制に寄与するものと考えております。
 次は、公衆喫煙所についてのご質問であります。
 改正健康増進法や東京都受動喫煙防止条例の施行によりまして施設内での喫煙が制限されますと、路上等での喫煙がふえることが想定されるため、公衆喫煙所の設置は、当面やむを得ないと考えています。
 一方、公衆喫煙所を設置するに当たりましては、近隣の方々に対しまして事前に丁寧な説明を行い、理解が得られるよう努めていくことは当然なことと考えます。現在工事を進めている公衆喫煙所の設置に際しまして、近隣への事前説明が十分でなかったことは甚だ遺憾でありまして、一日も早くご理解をいただけますように誠意を持って対応してまいりたいと考えています。
 最後のご質問であります。板橋区のグランドデザインについてのご質問です。
 板橋区の魅力は、交通の利便性や医療機関の充実、自然豊かな環境をはじめ歴史と文化が息づく都内有数の産業都市の顔を持つバランスのとれたところにあると考えています。板橋区の特色を一言であらわすのは難しいところでありますが、子育てしやすく、健康でいつまでも暮らせる安心なまちを目指して、板橋らしさを追求あるいは発信をし、東京で一番住みたくなるまちの実現をしていきたいと考えています。
 残りました教育委員会に関する答弁は教育長から行います。

◎教育長(中川修一君) 議長、教育長。

○議長(元山芳行議員) 教育長。
     〔教育長(中川修一君)登壇〕

◎教育長(中川修一君) それでは、おばた健太郎議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
 複数担任制度の実施に関しまして、教員の人数をふやすことについてのご質問ですが、教職員の定数につきましては、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律と東京都の学校職員の定数に関する条例で定められているところです。教育委員会では、教員1人当たりの持ち時間数を明確にすることが教員の人数をふやすことにつながると考えています。そこで、持ち時間数が設定されていない小学校教員に持ち時間数を設定するよう、教育長会や室課長会を通じて東京都教育委員会に要望を伝えているところです。
 続いて、1人の子どもを複数の教員で指導していく体制についてのご質問ですが、1人の子どもに対して複数の教員がかかわり、それぞれの教員のよさや専門性を生かして支援したり指導したりすることは大変重要であると認識しています。小学校では、学級担任だけでなく、学年の担任や専科教員、学習指導講師等も含めて、学年全体、学校全体で子どもを育てていく体制づくりを進めているところです。
 また、保・幼・小接続、小・中一貫教育を推進していく中で、さらに多くの教員が指導を行う体制として、小学校高学年における担任の専門性を生かした教科担任制についても検討を進めていきたいと思います。
 いただきました教育に関する質問の答弁は以上でございます。