2019年9月25日 一般質問

おばた健太郎 議員  民主クラブのおばた健太郎でございます。通告に従いまして、引き続き一般質問を行います。
 初めに、コミュニティバスについて伺います。
 現在、赤塚、徳丸、四葉、大門、高島平地域でコミュニティバスりんりんGOが運行されており、地域の皆様の足として非常に親しまれております。また、その他の地域におきましてもコミュニティバスに関しての住民ニーズは依然として高いのが現状であり、現在、交通不便地域である、小茂根、桜川、大谷口地域におきましてもコミュニティバスの運行が要望されております。それに関しまして、第2回定例議会の区長の答弁では、「道路幅員が狭いほかに、一方通行などの規制が多いため、ワゴン車クラスの車両でも運行ルートを結べず、バスの運行は困難な状況」とのことでした。そこで私は今回、住民の方々が提案されたルートを実際にワゴン車で走って、現状を確かめてまいりました。確かに、往復で1時間以上かかるため、一日の本数が確保しづらいことや、数か所、狭い道路環境が存在したのは事実でしたが、運行が困難であるとまでは断言できないと感じました。
 区が主体となってルートや金額、車両サイズを決定してしまうと、地域の方の満足を得られることは難しく、また、多くの地区で要望が上がり、調整が難航することも懸念されます。
 先日、委員会で視察を行った岐阜市の事例では、各地域の事情が異なるため、地域の方々が主体となってルートや金額を決めていく仕組みをつくり、運用されておりました。現在、要望の上がっている向原・大谷口地区以外にも板橋・加賀地区や中板橋など、それぞれの地域のニーズをそれぞれの地域が主体となって決めていくことが有効なのではないでしょうか。
 一例ですが、友好交流都市の金沢市では金沢ふらっとバスとして環状ルートを4ルート、15分置きに走らせている上、乗りかえポイントも幾つか設置し、利便性を高めております。さらに特徴的なのは、横安江町商店街のアーケード内をバスが走行しているルートがあることです。基本的にアーケード内は歩行者、自転車専用ですが、商店街活性化の目的として、特別に乗り入れが認められており、このようにルートについてもまだまだ検討の余地はあると思われます。
 そこで伺います。
 コミュニティバス運行に関して、地域の方々がルートや金額、車のサイズなどを決められるような、仕組みづくりを提案いたしますが、区の考えをお示しください。
 次に、子ども発達支援センターについて伺います。
 発達の偏りや遅れといった気がかりのあるお子さんに対しては、できるだけ早期から発達支援を行うことが重要であり、今現在も専門相談、個別支援事業を行ってはおりますが、まだまだ改善の余地があると考えられます。実際に子ども発達支援センターを視察いたしましたが、施設などのハード面、働き手のソフト面ともに不足しているとの現状を伺いました。また、現状では電話で申し込みをしてから相談できるまで1か月半近くかかる状況や、療育施設が区内に8か所しかないため、常に入所待ちの状態であることなども伺いました。特に、こういった子どもたちの社会参加を支援するためには、社会生活に慣れるための集団療育が重要であります。しかしながら、現状では集団療育を行うことができる施設も、高度な経験を持つ人材も不足しており、より一層の拡充が必要であると感じております。
 そこで伺います。
 子ども発達支援の体制に対する現在の評価を伺います。また、今後、どのような拡充を図っていくのか、見解をお示しください。
 次に、発達支援、家庭支援に関する情報公開について伺います。
 東京都には都内の発達障がいに関する情報を集約した東京都発達障害者支援センター(TOSCA)という施設及びウェブサイトがあり、総合的支援を行える拠点として平成14年に発足しております。ウェブサイト内には各地域の身近な相談窓口を各区市町村ごとに検索できるページが存在しておりますが、板橋区で検索すると板橋区立加賀福祉園のみが検索結果として表示されているのが現状です。板橋区以外の区では子ども発達支援センターや障害福祉課、子ども家庭支援センターなど、さまざまな検索結果が身近な窓口として表示されております。
 また、板橋区のウェブサイト上の情報も非常に少ないと感じます。
 江東区では江東区こども発達センター、塩浜CoCoの専用ウェブサイトが存在し、事業内容や支援内容をわかりやすく表示しております。墨田区では、区内の療育施設一覧や、放課後等デイサービスの情報をウェブサイトに公開しているほか、調布市では、子ども家庭支援センター、すこやかの専用ウェブサイトがあり、親子で遊びたい、子どもを預けたい、相談したい、情報がほしいなど、利用者目線の目次が数多く並んでおります。
 板橋区においては、子ども発達支援センターのウェブサイトの情報が少なく、療育施設一覧や放課後等デイサービス情報は、インターネット上では民間団体がまとめたサイトがあるだけです。さらには、子ども家庭支援センターに関してはリーフレットのPDFが添付ファイルとして置かれているだけで、これではとても利用者目線であるとは言えません。
 板橋区として、さまざまな発達障がいの支援を行っていることは承知しておりますが、一般には配布されない、関係者用のガイドブックに記載されているなど、気軽に情報を取得することができないのが現状です。
 子どもに発達障がいがあるかもしれない、と心配している保護者の多くは、まずインターネットで情報収集されます。行政発信の信頼性の高い情報がウェブに載っていない、もしくはわかりづらい状態であれば、本当に困っている人たちに情報が行き渡らない可能性があります。相談に来たから教えるという姿勢ではなく、現在の支援メニューを積極的に公開することが必要ではないでしょうか。利用者視点のポータルサイトを作成するなど、板橋区の支援体制の認知度を上げるよう努力するべきです。
 そこで伺います。
 現在の板橋区の相談窓口を、東京都発達障害者支援センター(TOSCA)に追記していただく必要があると考えますが、見解を伺います。また、板橋区として既存の紙媒体や相談ベースに加えて、ウェブサイトによる情報発信をさらに拡充するべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、生きる力を育む教育について伺います。
 中央教育審議会は平成8年に、教育のあり方について、変化の激しいこれからの社会に対して生きる力を新たな教育目標として設定いたしました。平成23年以降の学習指導要領においても、知識、道徳、体力のバランスがとれた力である生きる力の育成実現が目標とされています。
 そのためには小・中学校の9年間の中で、自己肯定感を高め、一人ひとりが課題を見つけ、自ら学び、主体的に判断し、行動することによって、問題を解決する力を身につけることがとても重要です。
 板橋区はこの生きる力を育むために主体的・対話的で深い学びを実践するとして、板橋区授業スタンダードを推進しております。授業の初めに学習のねらいを示し、授業の終わりに振り返りを行い、友達と考え方を交流して、よりよい考えをつくり出す時間を設ける、という一連の流れは一見すると問題がないように思われますが、使い方を間違うと、子どもたちの主体的な学びを阻害し、逆に授業スタンダードという画一的で受動的な授業が行われることが懸念されます。落ちこぼれや、吹きこぼれを生み出す、みんなで同じことを、同じペースで、同じやり方で行うのではなく、一人ひとりの習熟にあわせた学びに転換することが主体的・対話的で深い学びにつながると考えております。
 とはいえ、授業の手法や教員の指導力等、解決しなければならない課題も多く、一朝一夕にいかないことは理解できます。さらには、児童・生徒により、理解度もまちまちであることを考慮すると、例えば1人1台タブレットがあった場合、教員は各自の習熟度を確認しながら授業を進めることができるのではないでしょうか。
 そこで伺います。
 板橋区授業スタンダードは児童・生徒の学力向上に一定の成果が出ていることは承知しております。しかし、本来の目的である主体的・対話的で深い学びに向かうためには、個々の習熟度にあわせた学習を進めるべきと考えますが、見解を伺います。また、習熟度に応じた学習を進めるためには、個別タブレットによる習熟度別学習などが有効と考えますが、導入や活用方法についての見解を伺います。
 次に、コミュニティ・スクールについて伺います。
 板橋区では平成20年度から順次拡大し、令和2年度に全ての小・中学校で板橋区コミュニティ・スクールが導入されることとなっており、その準備段階として現在、推進委員会を設置し、実施をしている最中です。私もコミュニティ・スクール推進委員会の一員として活動し、議論を深めているところですが、ほかのPTA会長や町会長、教職員の方々から伺うさまざまな意見に鑑みると、残念ながら現在のところ、その意義について浸透しているとは言いがたい状況です。
 コミュニティ・スクールの目的は、地域の大人と学校の職員が本音で語り合い、地域の宝物である子どもたちを誰一人排除しないで、みんなで育み、すべての子どもの安心できる学びの居場所を地域の学校につくることにあるとのことですが、現状は、学校側が用意した子どもたちの挨拶運動推進や運動会の暑さ対策などについて委員が感想を述べる程度で、理想と現実にはまだまだ乖離があると言わざるを得ません。とある教員からは働き方改革もあるのに、余計な仕事をふやさないでほしいとの声も聞かれました。
 そこで伺います。
 この現状を踏まえて改めて、コミュニティ・スクールの目的と現状をどのように認識されているのか、また、目的を達成するための現在の課題をお伺いします。
 次に、コミュニティ・スクール委員会について伺います。
 コミュニティ・スクール推進委員会は、町会長、PTA会長、おやじの会、地域コーディネーターなどで組織されておりますが、児童・生徒の当事者はPTA会長、おやじの会の会長などに限定されているのが現状です。また、当然のことながら委員は教育に関しては素人であり、学校の本丸である教育活動に踏み込むことは難しいと思われます。会議のための会議、形だけのコミュニティ・スクールにしないためにも、コミュニティ・スクール委員会のあり方をさらに検討するべきであると考えます。コミュニティ・スクール委員会は経営部門として学校に、提案、意見、承認する立場とのことですが、年数回、数時間の会議では、そこまで熟議することは難しいのではないでしょうか。
 地域住民や保護者が本当に主体的に学校運営に参画するのであれば、ボランティアベースで年数回来るのではなく、職員室にコミュニティ・スクール委員の机を用意するくらいの覚悟と姿勢がなければ、意味をなさないのではないでしょうか。そのためには、区としてもさらなる地域の方へのサポートが必要であり、きちんとした報酬をお支払いして学校に常駐していただき、学校と深くタッグを組むことも検討するべきだと考えます。
 そこで伺います。
 コミュニティ・スクールを地域に根づかせ、発展させるために、地域で常駐していただくメンバーを検討するべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、PTAについて伺います。
 PTAは学校と保護者をつなぐ役割として存在し、地域にもしっかりと根づいております。区としてもコミュニティ・スクールや、地域センターの活動、青少年健全育成事業、地域の開発計画の説明会、セミナーの出席依頼等、さまざまな形でPTAとのかかわりを持っており、また、PTA役員は子どもたちのため、地域のために少ない時間を使って必死に活動しております。
 しかし、近年のインターネットや書籍などによれば、負担が大きい、義務ではない、役員を強制された、ブラック組織である等々、ネガティブな情報にあふれております。兵庫県川西市の越田謙治郎市長はPTAの負担軽減を公約に挙げ、PTAあり方検討会を立ち上げました。PTAが任意団体であることは承知しておりますが、実際はさまざまな地域行事との兼ね合いもあり、なくてはならない組織となっております。また、PTAは教育の一番の当事者であり、現場の課題を最も認識している団体でもあります。一例を挙げますと、昨今は運動会の暑さ対策が大きな課題となっており、遮光ネットやテントの購入など、共通の課題も山積しております。このようなことからも区として、小学校PTA連合会や中学校PTA連合会から、予算措置を含めた要望を聞く機会を設けることや、PTAのあり方を検討する取組みを加速させるなど、さらなるPTAへの支援が必要だと考えております。
 そこで伺います。
 PTAのあり方について区としてイニシアチブをとって、かかわっていくべきであり、あり方検討会の設置、要望を伺う機会を設けることなどを提案いたしますが、見解を伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴、まことにありがとうございました。(拍手する人あり)

◎区長(坂本健君) 議長、区長。

○議長(元山芳行議員) 区長。
     〔区長(坂本 健君)登壇〕

◎区長(坂本健君) それでは、おばた健太郎議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、コミュニティバスについてのご質問であります。
 現在、区では、交通政策全般に関する交通政策基本計画を策定中でありまして、安心・安全な交通環境の創出と、多様な交通手段による利便性の向上を目指しているところであります。この計画におきましては、他自治体の事例も参考にしながら、地域のニーズに合った交通利便性の向上に取り組む仕組みづくりを研究しているものであります。
 次は、子ども発達支援体制に関連いたしまして、現在の評価についてのご質問であります。
 区では、平成23年に子ども発達支援センターを設置し、健康福祉センターをはじめ、医療機関や療育施設などとの連携によりまして子どもの発達支援を行ってまいりました。しかしながら、子ども発達支援センターでの相談待機があることや、その後につなぐ療育の受け皿が十分とは言えない状況であると認識をしております。
 次は、今後の拡充についてのご質問であります。
 子どもの発達は、区と民間も含めた多くの機関がかかわって支えていくべきものと考えております。区では、平成27年から志村健康福祉センターでの出張相談を開始し、相談体制を拡充してまいりました。さらに、関係機関の担っている役割を有機的に結びつけ、相談の待機期間の短縮に努めていく考えであります。また、療育の場は民間に委ねているところでありますが、区内での開設を選択してもらえるよう、関係機関とも情報を交換しながら検討を進めていきたいと考えています。
 次は、相談窓口のTOSCAへの追記についてのご質問であります。
 区としましては、できるだけ速やかに、東京都発達障害者支援センター(TOSCA)のホームページに区の発達支援の情報を追記していただけるように調整したいと考えています。
 次は、ウェブサイトによる情報発信についてのご質問であります。
 区として、関係団体と調整を図った上で、紙媒体だけではなく、区のホームページをはじめ、ウェブサイトを使った情報発信に早急に取り組んでいく考えであります。
 残りました教育委員会に関する答弁は教育長から行います。

◎教育長(中川修一君) 議長、教育長。

○議長(元山芳行議員) 教育長。
     〔教育長(中川修一君)登壇〕

◎教育長(中川修一君) それでは、おばた健太郎議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
 初めに、生きる力を育む教育に関しまして、習熟度にあわせた学習についてのご質問ですが、板橋区授業スタンダードは、小・中学校で共通した学習の流れを示しており、経験年数が浅い教員でも主体的・対話的で深い学びにつながる授業が実践できると考えております。教育委員会では、主体的・対話的で深い学びの実現を図るために、板橋区教科等指導専門官によるすぐれた授業を公開するなど、教員の授業力向上を図っているところです。また、教員の教科指導の専門性を生かし、児童の習熟度に応じた指導が実践できるように、小学校における教科担任制を推進していきたいと考えています。
 次に、タブレットパソコンを利用した個別習熟度別学習についてのご質問ですが、学習を進めるに当たり、タブレットパソコンの利用が個別習熟度別学習に適していることは認識しており、タブレットパソコンを効果的に活用できるように、教員を対象に研修を実施しているところです。本区では、パソコン教室の機種更新にあわせて、中学校には平成28年度、小学校には平成30年度に全校にタブレットパソコンを各45台、天津わかしお学校には30台、配備しております。今後は、日々の授業へのタブレットパソコンの利用を促進し、個別習熟度別学習が充実するよう、さらなるタブレットパソコンの整備を検討してまいります。
 次に、コミュニティ・スクールに関しまして、目的、現状認識と課題についてのご質問ですが、板橋区コミュニティ・スクール導入の目的は、議員がおっしゃっていただきましたように、地域の大人と学校職員が本音で話し合い、地域の宝である子どもたちを誰一人排除しないで、みんなで育み、全ての子どもの安心できる学びの居場所を地域の学校につくることにあります。現在、来年度からの本格実施に向けて、区内全区立小・中学校でコミュニティ・スクール推進委員会を設置し実践しておりますが、先行実施校とその他の学校、地域特性などにより、学校間に温度差も見られております。目的を達成するための現在の課題は、関係者が具体的な成果を実感できるよう、議論すべき課題の選定、会議の進行、実際の取組みのコーディネートなどをいかに行うかにあると考えております。
 次に、常設の委員を設置することについてのご質問ですが、板橋区コミュニティ・スクールの取組みは、地域の方が持つさまざまな知見を広く学校活動に取り入れ、地域とともにある学校を目指すものです。今年度中に各校で準備会としてコミュニティ・スクール推進委員会を5回開催することとしており、本格実施に向けて、試行錯誤しながら取り組んでいただいております。推進委員会では、地域や学校の状況に合ったテーマの議論において、熟慮と議論を重ねながら全員の理解の深まりと納得感を醸成する熟議と呼ばれる対話手法に慣れ親しんでいただきたいと考えています。常駐の委員の設置につきましては現段階では難しいと考えますが、板橋区コミュニティ・スクールをより機能させるための仕組みのあり方については、今後も研究を続けてまいります。
 最後に、PTAのあり方についてのご質問ですが、区立小・中学校のPTAには学校活動や区のさまざまな事業に協力いただいており、特に区立中学校PTA連合会とは、毎年、教育対策に関する要望に対する情報連絡会を開いております。また、近年は、PTA活動について、保護者の中でもそれぞれの考え方からさまざまな意見があることは区でも認識しているところです。PTAは任意団体ではありますが、これからのあり方について、機会を捉えて区立小・中学校PTA連合会と対話を重ねてまいりたいと考えています。